DVDの保存方法|劣化を避ける保管方法
DVDは半永久保存が可能と言われる記録保持ディスクですが、実は正しい保管方法でないと劣化してしまったり、最悪の場合はデータが消えて復旧ができないということも起こってしまいます。
そうならないためにも、DVD保管方法には十分な注意を払いましょう。
DVD保存方法の基礎知識:保管方法によってDVDは劣化しやすくなる?
DVDのような光ディスクは、機械駆動や半導体ではないシンプルな媒体であるため比較的長期保存に向いていると考えられています。
また、HDDやSSDなどに比べて容量が小さい分コストが少ないため、何重にも記録をすることでリスクを分散しやすいものになります。
多くの一般家庭で記録保存メディアとして利用されているDVDですが、実はDVDの種類や保存方法によっては劣化が早く短い期間で寿命を迎えてしまうことがあります。
DVDの劣化には保存・保管方法が関わっている
DVDの劣化というのは、データの劣化と同意ではありません。
デジタル信号でDVDなどの光ディスクに保存されたデータは、VHSなどと異なり経年による劣化はありません。
さらに記録や再生もレーザー光による非接触で行うため何回再生や記録をしてもデータそのものが摩耗することはなく、寿命というものは存在しないのです。
では何がDVDの劣化の原因となるのでしょうか?
それはズバリ光ディスク自体の劣化です。
やはり光ディスクも物である以上、物理的な劣化や寿命は避けられません。
良品をより良い保存方法で保管した場合、100年程度の寿命と言われています。しかし、それほどの環境や良品を維持し続けることは現実的に難しいため、一般的には20〜30年が光ディスクの寿命とされています。
DVDの劣化対策はデータの移行
上で紹介した通り、DVDそのものの物理的な劣化を防ぐことはできません。
そのため、寿命の10年程前を目安として次世代の記録媒体にデータを移行することをオススメしています。
データ自体は劣化をしていないので、定期的なバックアップや新しい媒体へ移行することで、データを永遠に守り続けます。
DVDの寿命は保存・保管の方法が適切なら30〜100年
DVDと一口に言っても様々な種類があります。
DVD-ROMは、他種のDVDに比べると最も保存可能期間が長く、適切な保管をしていれば30年〜100年保存が可能です。
次に、一般的に電気屋などで売られているDVD-Rは、適切な保管をすれば10〜100年保存が可能です。
DVD-RWは、ディスクは熱に敏感に反応するため、一度しか書き込みが出来ないディスクよりも摩耗が早く、保存期間は短くなっています。適切な保管をすれば10〜100年保存が可能です。
また、DVD-RWの場合は期間だけでなく書き換え回数によっても寿命があります。
現在の製品であれば、およそ1000回の書き換えで寿命を迎えてしまいます。
上記の期間に達していなくても、寿命を迎えてしまう場合もあります。
その主な原因は3つあります。
- 取扱いによる物理的変形や損傷
- 温度や湿度、紫外線などの影響による科学的変質
- 粗悪品
インターネットや中古店では粗悪品が出回っていることも多々あります。
正規の販売店、純正メーカーで購入することは、DVDの寿命を延ばす最も基本で重要なのです。
DVDの劣化を防ぐ保存・保管の方法
劣化を防ぎ、寿命を延ばすための適切な保管方法は全部で6つあります。
1.高温多湿な場所を避けて保管
カビなどの原因になる高温多湿な場所はDVDには大敵です。ディスクにカビが生えているのにも関わらず気付かずにドライブに入れてしまうと、DVDの損傷はもちろんですが、ドライブまでも故障してしまいます。
2.直射日光に長時間晒さない
直射日光もやはり大敵です。盤面が焼けてしまい、データが読み込めなくなります。
3.急激な温度変化を避ける
室内を一定の温度に保つことができればなお良いでしょう。
4.ディスクは保存ケースに入れ、傷や汚れなどの劣化を防ぐ
傷や汚れによりディスクが読み込めなくなる恐れがあります。
保存ケースは100円均一でも売られていますので、ケチらずに購入して保管することをオススメします。
5.掃除をする
裏面(光っている方)の汚れや指紋は、柔らかい布や市販のクリーナーで掃除をしましょう。
汚れが見えると、つい指先や爪で書き出してしまいたくなりますが、そこはグッとこらえて優しく柔らかい布で拭きましょう。
それでも気になる場合は市販のクリーナーを使うことをおすすめします。
6.正規の販売店や信頼できるメーカーで購入する
保管方法とは異なりますが、これも立派な自己防衛です。 海外の粗悪品は多く出回っているので充分注意して購入することも必要です。
DVDの保管方法に関する予備知識:DVDとブルーレイの違いは?
同じ記憶メディアとして並ぶDVDとブルーレイですが、その2つは大きく違います。
DVD
DVDとは、Digital Versatile Disc(デジタル バーサタイル ディスク)の略で、多用途(Versatile)に動画の収録が可能な第2世代光ディスクとして誕生しました。
もともとはVHSの置き換えとして作られた製品ですが、その多用性から様々なシーンで使用できることがわかり、今では「動画の保存といえばDVD」という位置付けになりました。
DVDが様々なシーンで使用される理由は、その便利さにあります。CDと同じ形状でありながら、その容量はCDよりはるかに大きく、およそ6倍のデータを記録することができます。
書き込み方式は、トラックに沿ってピットと呼ばれる凹みを作っていくものになります。その凹みにレーザー光線を当てていき、凹みの有無で読み込んでいきます。
また、形状がCDと同型なため、パソコンのCD読み込み口に差し込むことで使用が可能です。DVDプレイヤーは従来のVHSプレイヤーよりも薄型で、軽量に作れるため、DVDはあっという間に世の中に広まりました。
VHSの製造コストは1本120円程度からとなります。対してDVDは、1枚20円程度という業界にも一般家庭にもメリットがあるからこそ、普及に拍車をかけたのでしょう。
ブルーレイ
ブルーレイとはBlu-ray Discの略で、青紫色半導体レーザーを利用した新世代の光ディスクです。
片面一層だけで25GBの容量を持っているため、単純計算でDVDの5倍の容量を持っています。ディスクの大きさはCDやDVDと同じ12cmです。
読み込みや書き込みの方法はDVDと異なりますが、多くのブルーレイ対応機器はドライブでCDやDVDを読み込めることが多々あります。反対に、DVD再生機器でブルーレイが扱えないこともあります。
ちなみにブルーレイディスクのBluが青を表すBlueでないのは、英語圏では商標にBlueが使えないことから海外展開したことに由来します。
DVDとブルーレイ、5つの違い
1.画質の違い
DVDの画素数は約35万画素に対し、ブルーレイは約207万画素です。
より綺麗な画質を再生できるのはブルーレイの方なのです。
2.容量の違い
容量については後述しますが、単純に比べるとDVDは片面一層4.7GBに対し、ブルーレイは片面一層で25GBです。
およそ5倍近くの容量をブルーレイは収めることができます。
3.対応レコーダーの違い
ブルーレイディスクレコーダーは3万円〜10万円程度で販売されており、ほとんどの場合でDVDの再生も可能ですが、DVDレコーダーでブルーレイの再生ができるものは少ないです。
その代わりDVDレコーダーは安価なことが多く、数千円から購入が可能です。
4.強度の違い DVDも物理的な損傷に弱いですが、ブルーレイはその上をいきます。
一般的にCDやDVDを保管するのに使用される不織布ですが、ブルーレイを入れてしまうと物理的な損傷が起こりやすく、データの再生が出来なくなることがあります。
その理由としては、ブルーレイは保護層が0.1mmと薄いためDVDよりも傷や汚れ、指紋などの影響を受けやすいためです。
5.パソコンが対応していないことがある
パソコンのドライブでDVDに対応していないことはほとんどありません。しかし、ブルーレイに対応していないパソコンはまだまだあります。
ブルーレイを使用する場合は、パソコンがブルーレイに対応しているかをよく考えて使用する必要があります。
DVDの種類
DVD-ROM
読み出し専用のDVDで、コンピュータ用の読み出しファイルを記録したものです。
容量は一層タイプでは片面4.7GB、両面9.4GB、二層タイプでは片面8.5GB、両面17GBになります。
主な使用用途は2つあります。
1つめはゲーム機のplaystation2やXboxのソフト用の媒体として採用されています。
2つめは一般的に普及している市販のDVDビデオです。市販のDVDビデオには、DVD-videoのアプリケーションフォーマットで映像データを記録したものが販売されています。
あくまで読み出し専用機なので、書き込みはできません。
作成時にはデータ記録面に読み出し用のピットを記録した原盤を作成し、それをプレスと貼り合わせています。そのため、他の書き込み可能なDVDに比べて経年による変化や劣化には強いものになります。
DVD-R
DVD-R とはDVD Recordable Discの略です。
一度だけ書き込みが可能なDVDで、容量は片面4.7GB、両面9.4GBです。
DVD-Rで記録されたデータは、ほとんどのDVDプレイヤーやディスクドライブで読み取ることができます。しかし、1990年代のプレイヤーではデータを読み取る反射率が異なります。再生されない可能性もあるため、注意が必要です。
再生されない場合は、書き込み方式によって解消する方法もあります。書き込みの際に「ディスクアットワンス」方式を採用し、ディスクをファイナライズさせることによって古い機器での再生が可能になることもあるのです。
DVD-Rのメリットは、データの書き込み時にレーザー光の照射による色素の分解という化学変化を利用しているためコストが低く済み、購入がしやすいということです。
一方デメリットは、一度しか書き込みが出来ないため再利用ができず、不要なデータは物理的に廃棄する以外の方法がないことが挙げられます。
また、色素の化学変化を利用してデータを記録しているため紫外線に弱く、直射日光を当て続けることによりデータの損傷が起こりやすくなっています。
DVD-RL
少し聞きなれない名前のDVD-RLはDVD Dual Layerの略です。
DVD-Rが一層タイプなのに対し、RLは二層タイプで作成されたものになります。
容量は片面で8.5GBです。両面への記録が可能とされていますが、両面記録タイプは市販されていません。
今までは、記録速度が遅い、価格がDVD-Rに比べて高いなどの理由で普及していませんでした。しかし、最近ではDVD-Rの記録速度と差がないものが多く、DVD-Rよりも容量があるため今後注目される可能性のあるメディアです。
DVD-RW
DVD ReWritable Discの略で、繰り返し書き直しが可能です。
片面4.7GB、両面9.4GBとなっており、DVD-Rと同等の容量を持っています。
構造はDVD-Rに似たものがありますが、記録マークを形成する皮膜の形成材料に有機色素材料ではなくアモルファスという金属材料を使用しています。
レーザー光の照射による加熱で、アモルファス金属素材を結晶化・非結晶化させることによってデータの記録と消去を行うため、複数回の書き込みや消去が可能となります。
DVD-Rと構造は同じでもデータの記録方法が異なるため、より光や熱に強く、経年劣化にも強いのですが、レーザー光の反射率が低いためドライブによってはDVD-Rに比べて若干互換性が低いということがあります。最近ではそれもかなり改善されたようですが、古い機器を使っている方は要注意です。
また、他の書き込み可能ディスクとの違いで注意すべき点は、購入後にvideoモードかVRモードかで一度フォーマットする必要があることです。フォーマット形式が変わるため、都度選択をしなくては使用することができません。
DVD-RAM
Digital Versatile Disc Random Access Memoryの通称です。
読み書き可能なメディアで、パナソニックが中心となって開発されたものです。最大10万回の書き換えが可能と言われていることが特徴です。
容量は一層タイプのみが製品化され、片面1.46〜4.7GB、両面2.92〜9.4GBとなっています。
データの記録方法はDVD-RWと同じで、アモルファス金属にレーザー光を照射して加熱によって結晶化・非結晶化をしてデータを書き込んでいるため、光による経年劣化は起きにくいです。
ただし他のDVD機器と違って、ディスク面の位置情報の書き込み方式やディスクの回転制御方式が独立しているといった異なる点があり、専用の再生機器が必要になることが多いため注意が必要です。
どの機器にもメリット、デメリットがありますので、ご自身の用途に合わせて選ぶのがいいでしょう。
DVDは正しい保存・保管方法を用いて劣化から大切なデータを守りましょう!
正しい保管方法をすれば最低でも10年は保管が可能です。
10年後にはもっと優れた記録媒体が出ている可能性が高いので、それまではDVDで保管したいものですね。
データの損傷もなく、安価で便利な記録媒体はDVDの他にありません。
ぜひ正しい保管方法でDVDを有効活用してください。